MAIHA-MAN

司令官

「石村、ひさしぶりやな」 暗がりから金髪の男が姿を見せた。 「つ●く♂さん!」「おいおい、別に伏字にせんでええがな」 つんく♂は苦笑いしながら二人の前に立った。 実際、舞波の発音は「ん」の部分がビミョーだったのだ。「つんく♂さんどうして・・・」 ゆ…

夜空

「なんで邪魔すんのさ!舞波!」 「あんまり大きな声出すと下の警官に見つかるよ、ゆりな」 7階建のビルの非常階段の踊り場で舞波は静かに答えた。 「わかってるよ」ゆりなは眼下に見える人ごみにちらりと目をやった。 二人はこのビルの非常階段の最上階部分…

正義の味方

夜8時、今日は事務所で打ち合わせだけを済ませ、雅はスタッフの車に送られて事務所近くの駅に降り立った。 歩いてもたいした距離では無いのだが、ファンの出待ちを避けるためにわざわざ車を使ったのだ。 じゃあ、また明日ね。一緒に降りた佐紀、千奈美、ゆり…

ニュース

昨日は何か変だったな。 夏焼雅は朝、学校に向かう通学路で昨夜のことを思い出していた。 桃子は調子悪そうだったし、ゆりな、何がどうとは言えないけど、いつもと少し違った気がした。 ゆりな、一昨日、調子悪くてレッスン休んだって言ってたけど… 昨日はま…

嗣永桃子の憂鬱

「ちょっと休憩入れま〜す。15分後に再開しますんで」スタッフの声にスタジオの緊張感が和らぐ。 ローティーン向けのファッション雑誌から飛び出してきた様な衣装を着た女の子達がスタジオの隅のテーブルや椅子へとわらわらと集まってくる。「ちょっとみや〜…

再会

12月か、ずいぶん寒い日が増えてきたな。 街はクリスマスモードに装いを変え、カップルが寒さを避ける様に寄り添って歩く。 学校帰り、舞波は街の様子をぼんやりと眺めながら、近所の家電量販店に立ち寄っていた。 ママからメールで乾電池を買ってきて欲しい…